脳性まひの息子、首絞めた朝 愛した44年、母絶望 「後悔の念でいっぱい。本当にかわいい息子だった」

1:2016/02/22(月) 15:53:51.94 ID:
 介護に疲れたり、将来を悲観したりして、年老いた親が重度障害者のわが子に手をかける事件が相次いでいる。44年にわたって介護を続けた脳性まひの次男(当時44歳)を殺害したとして、殺人罪に問われた大阪市の母親(74)は今年1月、大阪地裁の法廷で泣き崩れた。「後悔の念でいっぱい。本当にかわいい息子だった」

 母親は2014年11月22日午前8時ごろ、自宅で寝ていた次男の首を腰ひもで絞めて殺害したとされる。間もなく帰宅した長男(49)が異変に気付いて119番通報した。次男が息を引き取った後、母親は仏壇の前でお経をあげていたという。

 大阪地裁判決や法廷での関係者の証言によると、次男は出生時から重い障害があった。成長しても歩いたり、話したりできず、全ての面で介護が必要だった。母親が中心となり、おむつ交換、食事、入浴などの世話をした。次男は便秘気味だったため、2日に1度は次男の肛門に指を入れて便をかきだした。

 音を鳴らすことが大好きだったから、音が出るおもちゃを持たせ、キーボードの鍵盤に触れさせて遊ばせた。

 成人すると介護の負担は増した。家の中でも車いすで移動させており、体重50キロ前後の次男を車いすに乗せたり、降ろしたりするのは重労働で、母親は腰痛に苦しんだ。次男は夜に布団からはい出すことも多く、母親は寝不足になった。

 07年に夫が亡くなってからは母親が全てを一人でこなした。11年に別居していた長男が同居してくれた。母親と長男は大阪市此花区の障害者向け施設「アミティ舞洲」に次男を連れて行き、入浴や食事を楽しませた。

 ただ、母親は12年には医師にうつ状態と診断され、抗うつ剤を飲んだ。ストレスをためた長男から暴言をはかれることも増えた。

 事件前日。母親はケアマネジャーに自分自身が施設に入りたいと訴えた。翌朝、押し入れにしまっていた腰ひもを取り出し、布団で寝ていた次男の首に巻きつけて絞めた。1、2分たつと、次男は「うーうー」と声をあげて絶命したという。

 裁判の被告人質問で母親はこう弁解した。「介護に明け暮れる生活に疲れた。でも、私が施設に入って長男だけになったら次男の介護はできないと思った」

 母親と次男は11年までの約15年間、奈良県大和郡山市に住んでいた。当時の自宅の向かいでたばこ屋を営む女性(72)は取材に「母親と車いすの次男が玄関先で日光浴するのをよく見かけた」と話した。次男は体を揺すりながらうれしそうに声をあげ、母親は目を細めていたという。

 事件当日、息をしない次男を見て涙を流した長男は法廷でこう証言した。「私は約4年前に弟の介護を始めて人を愛することを知ったが、介護自体はつらかった。それを44年続けた母親のつらさは想像を絶するものだと思う。弟にも人権はあるが、弟は立派に生きた。私は母を許している」

 地裁は2月4日、母親に懲役2年6月(求刑・懲役5年)の実刑を言い渡した。半世紀近い介護生活の苦労に同情しつつ、身勝手な犯行だと母親を批判した。弁護側は執行猶予を求めて控訴した。

高齢の親に重い負担

 川崎医療福祉大(岡山県倉敷市)の岡田喜篤前学長によると、重度の知的障害と肢体不自由を併せもつ重症心身障害児・者は2012年4月時点で全国に約4万3000人と推計される。うち約7割の約2万9000人は自宅で家族らの介護を受けて暮らしている。介護する親の高齢化が進んでおり、「自分が死んだら子供はどうなるのか」と悩む人が増えているという。

 岡田前学長は「長年介護を頑張ってきた親ほど、『まだできる』と無理する傾向がある。しかし、高齢者に重度障害者の介護は相当な負担だ。家族の状況次第では、専門家が助言して施設などが介護を担う仕組み作りを急がないと、悲劇は繰り返されるだろう」と指摘する。

http://ift.tt/1XHlEWn
続きを読む

http://ift.tt/1QzGJT0