電気ケトルが主流になり台所から消える「やかん」にwwww

1:2015/12/04(金) 21:29:11.66 ID:
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(中略)

急須に熱湯を注ぐには、従来のように柄杓で汲んでいてはこぼれやすく、あまり都合がよくない。そこでさらに、あらかじめ注ぎ口のついた湯沸し道具が使われるようになった。
その1つが先の薬鑵である。1603(慶長8)年に長崎で刊行されたポルトガル語の日本語辞書『日葡辞書』には、
薬鑵について<今では湯を沸かす、ある種の深鍋の意味で通用している>と書かれており(『邦訳?日葡辞書』土井忠生ほか著、岩波書店、1980年)、
中世末期にはすでに湯を沸かす道具として用いられていたことが分かる。
先の『和漢三才図会』を見ると、薬鑵は「銅鑵」の名で載っており、当時は銅製であったことが分かる。<ものを煮ると大へん速く煮える>
と評価すると同時に、銅特有の臭いにも触れ、その欠点も指摘している。
そしてもう1つが鉄瓶である。鉄瓶は、鑵子に弦と注ぎ口をつけたものだ。初期の頃の鉄瓶には、釜と同じく鍔(つば)がついているものがあり、
それは鑵子から進化したことを物語っている。

だが、これら金属製の道具は庶民には手が届きにくかったに違いない。そこで陶製の道具、すなわち土瓶も盛んに作られるようになった。
いま使われている土瓶は直火不可のものも多いが、当時は火鉢や囲炉裏の五徳の上に置かれ、直火にかけられるのが普通であった。
こうして喫茶の習慣とともに湯を沸かす専用の道具もまた、その姿を変えていった。

新聞・雑誌が各種やかんの性能くらべ
やかん、鉄瓶、土瓶。そのどれも現在に至るまで使われている。だが、もっともよく使われているのはやかんだろう。改めて言うまでもないかもしれないが、
鉄瓶や土瓶が材質に依拠した名前なのに対し、やかんはそうではない。そのため、材質の特性にとらわれずに、時代のニーズに応えて姿を変えていくことができたのだ。
1939(昭和14)年12月6日付の朝日新聞朝刊には、「お湯沸しの科学」との見出しでアルミ、銅、瀬戸引きの3種のやかんを比較している。
瀬戸引きとは、鉄製の器具の表面を琺瑯(ほうろう)質で覆った琺瑯引きのことで、見た目が瀬戸ものに似ていることからそう呼ばれた。
記事ではまず、沸くまでには<薬鑵より鍋が早い>と、身も蓋もないことを言っているが、あとから3種をくらべて瀬戸引きが一番効率よく、次が銅、アルミが最後との結論を出している。
さらにその理由として、瀬戸引きがいちばんなのは、底が平らになっているからだと述べている。熱源が炉や七輪だった時代は、
丸い形のほうが熱のまわりは早い。だが、ガスや電気のコンロに変わると、より平らなほうが熱を受けやすくなるのだ。
それからさらに42年が経った1981(昭和56)年の『暮しの手帖』2月号を見ると、「ヤカン23種をテストする」と題した
特集でアルミ、ステンレス、琺瑯の各種やかんが並んでいる。その写真を見ると、底が丸いのは3つだけ。
ほかは基本的に底が平らで、注ぎ口や取っ手が直線的なもの、注ぎ口に蓋のついた笛吹きタイプのものなど、いろいろなものがある。

沸かす時間や取っ手の持ちやすさ、注ぎやすさなど、さまざまな角度からテストして、最終的にはアルミ製2種が高い評価を受けている。
また、ステンレス製も重いのが難点としながらも、1種だけ薦められている。先の新聞記事で一番だった琺瑯製は、
空焚きしたときに剥がれやすいという扱いにくさがネックになったようで、評価は低かった。
しかし、現在の主流はステンレス製だ。理由を推測するに、錆びにくく、扱いやすいからだろう。
銅の薬鑵から振り返ればずいぶんと紆余曲折を経て、現在に至っているのである。
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